ストーリー

EPISODE 01 生き様が教育

生きる原点、両親の姿

ここで、田渕祐輝が大切にしている三つの話をお伝えします。
一つ目は、父と母から学んだ「生き様こそが教育」という教えです。
田渕が今、社会保険労務士の仕事をしているのは、同じく社会保険労務士であった父に憧れを抱いたことがきっかけです。しかし、それ以上に人間として父、そして母に大きな尊敬の念を抱いています。
「今の私があるのは、まさに両親あってのこと」と田渕は言います。

田渕の父はもともと、建設会社の経理をしていたのですが、そこで生涯年収を計算した末に一念発起。社会保険労務士の資格を取るため猛勉強し、一発合格で、田渕が小学校1年生のときに会社を辞めて開業しました。

そして、高校の教員だった母は、母である以上に先生だったといいます。視野の広い、とても度量のある人でした。
例えば父が独立を相談したときも、「いいじゃない、がんばりぃ」と強く後押し。後に無謀な独立を相談したときも「がんばりぃ」と全く反対しなかった人です。

父という存在

父の開業当時は、母も働いていたので安定的な収入はあったと思われますが、「いつかディズニーランドに行けたらいいね」などと話していたこともあり、当時の田渕家は決して裕福ではなかったようです。
しかし父は開業後まもなく、自宅敷地内にプレハブで事務所を建て、2名のスタッフを雇い昼夜を問わず仕事に勤しみました。やがて自宅も改装され、どんどん家庭は豊かになっていきました。
自宅の敷地内ですから、田渕は必死に働く父の姿を常に目の当たりにしてきました。そしてどんどん豊かになる生活。

父は、よく家族旅行を計画していました。出発ギリギリまで仕事をし、「よし!終わったぞ!」と、勢いよく車で出発。両親と、弟二人がいたので3兄弟、そして愛犬も連れて、北海道や九州にも車で行きました。
父は仕事熱心な人でしたが、そんな思い出のおかげで、田渕や兄弟は決して寂しい思いはしませんでした。

母という先生

母のことで田渕がよく憶えているエピソードがあります。小学一年生の時、田渕は授業で手を挙げ、ある発言をしたのですが、担任の教員が「みなさんどうですか?」とクラスの子に問いかけ、皆から「違います!」と総スカンを食らったのです。
その時、母は「あれはおかしい!」「正解をどうこう決めるのが教育ではない!」と。「そんな教育では、子どもたちが手を挙げなくなる。積極性がなくなる。考えなくなる」と、学校に猛抗議しました。

母はよく、「みんなが敵でも私は守る」と言っていました。
これが、幼い田渕にとってどんなに心強かったか。
そのため田渕も、いつも自分の子どもにそのように言っています。
「パパは味方だからね」と。

その上で、「いいことはいいけれど、ダメなことはダメ」と教育してくれた母。
母は本当の意味で「先生」だったと、田渕は言います。

生き様が教育

やがて将来の道を考える歳になった田渕は、家族のために独立し成功した父に憧れ、こう相談しました。
「一番儲かる仕事ってなんだろう?」
父は「そうだな。士業の中でも、弁護士か公認会計士かな?」と。
そして田渕は公認会計士の勉強を始めますが、どうも身が入らない。
結局、大学卒業後に両親にお願いして、社会保険労務士の猛勉強を始めます。田渕は、ただ儲かる仕事がしたかったのではなく、父のようになりたかったのでしょう。父が見せてくれた姿に、日々強く憧れていたのです。
そして母も「がんばりぃ」と常に家族を励まし、小さな田渕を守ってくれた。強い信念を持って。

田渕が今、トレーナーや研修講師、講演の仕事をする上で、常に心がけているのは「まず自分がやる!」「背中を見せる」ことです。
それは、両親の姿を見て、教育や指導とはかくあるべきと強く思ったからです。
まさに「生き様こそが教育」であるべきなのです。

EPISODE 02 100%幸せな1%の人々

100%幸せな1%の人々

二つ目の話は、「100%幸せな1%の人々」という話です。
大阪の大学を卒業した田渕は、一念発起して社会保険労務士の試験を受けるため、故郷の岡山に戻ります。目標に向かい、猛勉強を重ねていた田渕でしたが、そこで待っていたのは、大阪に残してきた恋人とのすれ違い、そして別れでした。さらに追い討ちをかけるように、可愛がっていた愛犬が亡くなったのです。
「死んだら、二度と会えない。生きていれば、会おうと思えば会えるのに…」

そんな時、名著「100%幸せな1%の人々」の本に出会います。この本の「すべてのことを受け入れ、感謝する」という考え方に触れ、物事の捉え方が変わりました。
「コントロールできるのは自分だけ。他人と過去は変えられない。自分と未来は変えられる」
不平不満を言うのをやめ、全てに感謝し受け入れようというマインドに変わった瞬間でした。

そうして社会保険労務士の試験に一発合格し、父の背中を追うように最初から独立開業。田渕は岡山生まれですが、何のつてもなく大阪で開業します。
当然、開業当時はほとんど仕事がありませんでした。
その頃の苦労や苦しさは憶えていないという田渕ですが、おそらく前しか見ていなかったのでしょう。
「やはり就職すべきだった」とか「父の元に居るべきだった」という発想は、全くありませんでした。

BNIとの出会い

開業後すぐは仕事がなかった田渕は、仕事をくださいと営業するのではなく、まず「とにかく人に会おう」と考えました。交流会に参加し、どんな紹介も有り難くお受けし、同業者のお手伝いのような仕事も頑張る日々。

そんな中、よく仕事を共にしていた税理士から、名古屋でBNIという異業種ネットワーキングが成果を上げているという話を聞きました。
早速見に行くとこれが素晴らしい。「是非私も参加したい!」と田渕は強く感じます。

ところが大阪にはまだ支部がありません。
「大阪で立ち上げたい」と本部に掛け合いました。
こうして田渕はBNI部の立ち上げメンバーとなります。

BNIを大阪に広げるためには、多くの仲間、共感者を集う必要があります。
やるからには「まず背中を見せる!」
大阪・名古屋間を毎月のように、鈍行列車に揺られて通うようになりました。

組織はリーダーの器以上にはならない

BNIの活動の成果は徐々に出始めます。最初は目の前の信頼できる仲間たちに声をかけ、共に活動を開始。徐々に仲間が増えていきました。
田渕もまだ20代でしたが、だからこそ「リーダーとして恥ずかしくないように」と考え、必死で自分を磨きました。「100%幸せな1%の人々」は、この時代の田渕のバイブルでした。
「コントロールできるのは自分と未来だけ、他人と過去は変えられない」「愚痴や不平不満をやめよう」その言葉を実践していきました。

このBNIの成果が、いつの間にか社会保険労務士としての成功に繋がっていきます。
全く売り込まなくても、事務所の仕事はどんどん増えていき、また多くの協力者、スタッフが集まり、仕事がうまく回り始めたのです。
でも常に、これだけは忘れません。
「組織はリーダーの器以上に大きくはならない」
「常に背中を見せる」
自ら実践し、逃げない。自己の成長なくして組織の成功はない。田渕が両親の姿を見て育ち、尊敬し、得たものです。
田渕の人生が、大きく躍動し始めました。

EPISODE 03 仕事ではなく生き方

トレーナー

そして田渕に大きな転機が訪れます。それが三つ目の話、「仕事ではなく生き方」という、田渕の人生の重要なテーマです。
田渕はBNI大阪支部で組織を牽引するディレクターという立場を担うようになりました。その重要な役割の一つに「研修トレーナー」があります。BNIには、自身や組織、事業の成功のために役立つ、数多くのトレーニングメニューがあります。
メニューはみな同じながら、トレーナーのパーソナリティーや姿勢で、効果がずいぶん違ったものになってきます。そんな中、田渕のトレーニングは評判を呼ぶようになりました。回を繰り返すごとに、手応えや核心のようなものが芽生え、自身と周りに変化が起こり始めたのです。

トレーニングで人前に立つこと。
今まで、とにかく背中を見せることに集中し、自分を律してきましたが、それ以上に日々の姿勢が問われている。注目されることの責務。
その重大さに身が引き締まると共に、田渕は大きな使命ややりがい、自分が果たすべき使命のようなものを感じ始めたのです。

Inspire Japanese Leaders

BNIメンバーも別の場所で講義を聞いてくれる人も、日本を支える大切な人財である。その意味でお時間をいただき、トレーニングや講義をさせていただく者の責務は非常に大きいと、田 渕は考えています。

両親をはじめ多くの人の背中を見て、自身を律し、成長できたこと。
「100%幸せな1%の人々」やBNIの活動から学んだこと。
そして今、トレーニングが評判となり、気づけば多くのリーダーの方々に、少なからず影響を与えることができる立場にいる。

自分自身もさらに自身を磨き、人前に立たせていただくに相応しい人間であるべく努力を怠らない。そして日本を担うみなさんの前でお話するこのチャンスをいただけている。だからこそこの使命を全うしなければならない。
日本中のリーダーに刺激を与え、躍進するきっかけをつくりたい。

「Inspire Japanese Leaders」

今、成すべきこと。
その大きな使命と目標が見えてきたのです。

仕事ではなく生き方

ずっと自分の生き方や態度を戒め、未熟ながらできる努力はし、活動してきた中で、不思議と事業の成功や人生の目的、使命を見つけつつある今、心から思うこと。 お金がなくてもさして悩まず、その結果お金は後から付いてきた実感。
仕事は人生にとって大切な活動だけれど、仕事そのものより大切なこと、それは大切な人生である以上「生き方」だと、田渕は考えています。

「仕事ではなく生き方」

ビジネスは大切ですが、その成功はビジネスそのものにあるのではなく、生き方にある。
この国に生まれた以上、この国を豊かにしたい。
父や母が、家庭を豊かにするように、この国、この地域、仲間、家族を豊かにする。
それは日本に生まれし者の使命ではないでしょうか。

日本各地の素晴らしいリーダー達と共に、
この国を活気づけたい。

日本をより良くするためのきっかけを創る
これが、田渕祐輝の大きなビジョンです。